数(かず)  干支  数え方

落語を聴いていると、初午、丑の刻・・・とか、干支(えと)に出てくる言葉が結構出てきます。
そういえば、辰巳の方角(たつみのほうがく)、とか言うのもありますね。
何気なく聞き流してしまっていましたが、自分の生まれ年の干支ぐらいしか知らない・・・。
意味も全く分からない・・・。

ということでちょっとだけ調べてみました。

干支(えと)、というのは「干(かん)」と「支(し)」からなっている数を数えるための言葉なんだそうです。
一,二,三,四・・・と同じ。
犬とか猿とかでてくるから、私のように数詞だとは思っていない人も多いのではないでしょうか。

「私の生まれ年は午(うま)だよ」、というように使う「午(うま)」は、「支」の部分だけ。2014年は午年だということですが、干支(えと)としては「甲午」(きのえうま)となります。

干支(えと)は十干(じっかん)十二支(じゅうにし)からできています。

十干は
こう きのえ 木の兄
いつ、おつ きのと 木の弟
へい ひのえ 火の兄
てい ひのと 火の弟
つちのえ 土の兄
つちのと 土の弟
こう かのえ 金の兄
しん かのと 金の弟
じん みずのえ 水の兄
みずのと 水の弟
十二支は
うし
とら
たつ
うま
ひつじ
さる
とり
いぬ

昔の時刻は約2時間ずつで変化するので、時間を表す時は十二支だけ。

居間の時刻 十二支の時刻 数字で言った場合
午後11時~午前1時ごろ 子(ね)の刻 九つ(ここのつ)
午前1時ごろ~午前3時ごろ 丑(うし)の刻 八つ(やつ)
午前3時ごろ~午前5時ごろ 寅(とら)の刻 七つ(ななつ)
午5時ごろ~午前7時ごろ 卯(う)の刻 六つ(むつ)
午前7時ごろ~午前9時ごろ 辰(たつ)の刻 五つ(いつつ)
午前9時ごろ~午前11時ごろ 巳(み)の刻 四つ(よつ)
午前11時ごろ~午後1時ごろ 午(うま)の刻 九つ(ここのつ)
午後1時ごろ~午後3時ごろ 未(ひつじ)の刻 八つ(やつ)
午後3時ごろ~午後5時ごろ 申(さる)の刻 七つ(ななつ)
午後5時ごろ~午後7時ごろ 酉(とり)の刻 六つ(むつ)
午後7時ごろ~午後9時ごろ 戌(いぬ)の刻 五つ(いつつ)
午後9時ごろ~午後11時ごろ 亥(い)の刻 四つ(よつ)

あの、人を呪う時の「丑三つ時(うしみつどき)」は丑の刻から約30分単位で3つ目。午前1時から1.5時間くらいたった、2時半ごろ。
落語の時そばで「今何どきだい?」って聞いて、「よつ」とか「ここのつ」とか言っているところからすると、十二支も数字もどちらも使っていたんでしょうかね。

日の出から日の入りまでが「明け六つ」「暮れ六つ」になる不定時法というものだったというから、季節によって少し前後するけど、今でも残っている「おやつ」の時間は、ちょうど小腹のすくころだったんですね。

そして、月にも日にも干支が割り振られるので、立春過ぎの初めての午の日が初午(はつうま)という言い方になって、大黒様のご縁日は甲子(きのえね)、弁天様は己巳(つちのとみ)となるんですね。(といわれても書かれているものを見ないとわからないですけど)

ちなみに、還暦の60歳(数え年で61歳)は「本卦還り(ほんけがえり)」とも言われ、生まれた年の干支と同じ干支になる年のこと。
十干に十二支を割り当てていくと、最小公倍数の60で同じ干支が一巡するのですよ。
こんな感じです。

甲(きのえ) 甲子(ね) ↓ 甲戌(いぬ) ↓ 甲申(さる) 甲午(うま) 甲辰(たつ) 甲寅(とら)
乙(きのと) 乙丑(うし) ↓ 乙亥(い) ↓ 乙酉(とり) 乙未(ひつじ) 乙巳(み) 乙卯(う)
丙(ひのえ) 丙寅(とら) ↓ 丙子(ね) 丙戌(いぬ) 丙申(さる) 丙午(うま) 丙辰(たつ)
丁(ひのと) 丁卯(う) ↓ 丁丑(うし) 丁亥(い) 丁酉(とり) 丁未(ひつじ) 丁巳(み)
戊(つちのえ) 戊辰(たつ) ↓ 戊寅(とら) 戊子(ね) 戊戌(いぬ) 戊申(さる) 戊午(うま)
己(つちのと) 己巳(み) ↓ 己卯(う) 己丑(うし) 己亥(い) 己酉(とり) 己未(ひつじ)
庚(かのえ) 庚午(うま) ↓ 庚辰(たつ) 庚寅(とら) 庚子(ね) 庚戌(いぬ) 庚申(さる)
辛(かのと) 辛未(ひつじ) ↓ 辛巳(み) 辛卯(う) 辛丑(うし) 辛亥(い) 辛酉(とり)
壬(みずのえ) 壬申(さる) ↓ 壬午(うま) 壬辰(たつ) 壬寅(とら) 壬子(ね) 壬戌(いぬ)
癸(みずのと) 癸酉(とり) ↓ 癸未(ひつじ) 癸巳(み) 癸卯(う) 癸丑(うし) 癸亥(い)

 


 

数といえばもう一つ。数え方。
「ちゅう ちゅう たこ かいな」と2つずつで10を数える数え方。昔はよく聞いたんですが、最近は聞きませんね。
落語の「芝浜」で二分銀を数えているときに、
「ひとひとひとひと ふたふたふたふた みっちょみっちょ・・・」という数え方をしていますよね。
これは「ひとつ」「ふたつ」「みっつ」・・・なのかと思っていたら、どうやら魚屋さん(魚河岸)の符丁(ふちょう:仲間うちだけに通用する言葉)らしいです。

こちらにとても詳しく書いてくださっていました。

落語の中で拾ってきたお金は42両。

42両ということは、二分金で84枚。「ひとえ」のかけ声で5枚ずつだから、ひとえ×4、ふたえ×4、みっちぇ×4、よっちょ×4=80枚、残り4枚を普通に一枚ずつ勘定してゆく。つまり正解は「(5枚ずつ)ひとえ、ひとえ、ひとえ、ひとえ。ふたえ、ふたえ、ふたえ、ふたえ。みっちぇ、みっちぇ、みっちぇ、みっちぇ。よっちょ、よっちょ、よっちょ、よっちょ。(一枚ずつ)ひぃ、ふぅ、みぃ、しぃ」である

ということです。

数もおもしろい江戸時代、ですね。

 

 

参考
六十干支のよみ方
吉祥ありがた図鑑 幸運をもたらす干支のいわれ (じっぴコンパクト新書)
干支(えと)の切り紙―かわいい動物たち120作品が勢ぞろい