鹿の革と漆

腰に下げたる、印伝の巾着を出だし、見せる」 十返舎一九の滑稽本「東海道中膝栗毛」より

 

 

山梨県甲府市中央に店を構える印傳屋(いんでんや)は、鹿革と漆の独自技法である技術を、江戸時代から受け継いできたお店です。

 


江戸時代に入ると、遠祖上原勇七(現十三代)が鹿革に漆付けする独自の技法を創案、ここに甲州印伝がはじまったといわれています。この技法により作られた巾着、莨入れ、早道などは、当時の上層階級にたいへん珍重されました。

のだそうです。

印傳屋の「技」のページでは、漆付け技法、「燻(むす)べ」といわれる藁を焚いていぶす工程、一色ごとに型紙を変えて色を重ねていく工程など、昔からの技法を守っている職人の仕事を動画で見ることができます。

印傳屋の「技」のページはこちら

 

お伊勢参りや京大阪に旅する人々でにぎわう街道で、煙草入れや巾着などは、旅のお土産としても人気があったのかもしれませんね。

昔のお土産は、家族や隣近所に買って帰るのももちろんあったのでしょうが、ここまで行ったのだぞ、旅してきたのだぞ、と見せびらかす目的の役割もあったとか。
甲州の印傳だぞ!と見せびらかしている光景が浮かんできますよね。